2泊3日で北アルプスを歩いてきました。今回は久しぶりのソロハイクです。みんなでわいわい歩くのも好きですがやっぱり1番好きなのはソロなのです。天気ですが前回の白馬岳の天気予報とは打って変わって僕が予定していた3日間は全て晴れの予報でした。
今回も毎回お世話になっている毎日アルペン号で北アルプスに向かいました。今回は出発前にちょっとしたアクシデントがありました。いつもの様に受付を済ませて指定されたバスに乗り込みました。座席表に自分の名前もありました。出発5分前になり係員が行き先を告げますが僕が降車予定の停留所の名前は読み上げられず。慌てて聴いてみるとそのバスは隣で今にも出発しようとしているバスでした。どうやら向こうの手違いで違うバスに乗せられていたみたいです。乗車前にビールを飲んでちょっとぼーっとしていたしイヤホンでもしていて聞き逃していたらと思うと...移ったバスも空席が残り1席だけでした。のっけからつまずきちょっと焦りました。
今回の出発地点は「七倉山荘」です。七倉山荘にバスが着いたのはまだ暗い4:00でした。先ずはそこから高瀬ダムという場所に向かうのですが七倉ダムから高瀬ダム迄は歩くと90分程かかります。乗り合いタクシーも出ていますが5:30からという事で待つもの退屈だしお金もかかってしまうので歩く事にしました。直ぐに山ノ神トンネルという長いトンネルを歩く事になりました。明かりも付いてなく真っ暗でした。1人では心細く、誰か来ないかなと5分程待ってみたものの皆タクシーを待っている様でした。仕方ないのでヘッドランプを付けて真っ暗なトンネルを進みました。何だか肝試しに来ている様な気分になってきました。本当に真っ暗で出口も見えず。ポタポタと水が滴る音と僕の足音だけが聞こえていました。30分程歩くとやっとトンネルを抜けました。外は薄らと明るくなっていました。ホッとします。

不動沢トンネルの中を通ります。

こちらのトンネルはそれほど長くなかったですし明かりも付いていました。ホッとします。

トンネルを抜けると小さなキャンプ場があり、3人のハイカーがテントの撤収をしていました。どうやらこれから僕と一緒の方面へ行くみたいでした。この場所で少し腰を下ろして朝食を食べました。

〈野口五郎岳へ〉
ここからは烏帽子岳、野口五郎岳へ行けます。今回僕は先ず野口五郎岳を目指します。因みにこの野口五郎岳ですが初めてその名を聞いた時には真っ先にあの野口五郎が思い浮かびましたが、あの野口五郎はこの野口五郎岳から名前を貰っているのですね。去年野口五郎岳の名前の由来が気になってちょっと調べてみたのですが「野口」は地名、「五郎」は大きな岩が転がっている場所の「ゴーロ」から来ているそうです。更にこの「ゴーロ」ですが、岩が「ごろごろ」の「ごろ」から来ているとかそうじゃないとか...因みに登山靴の「五郎」は製造者の名前です。

登山口手前に水場があります。

汲んでいきます。

北アルプス裏銀座登山口。実はこの裏銀座は去年の夏に歩く予定でしたが2回計画してその2回とも台風の影響でキャンセルしていました。今回は1年間ずっと思い続けていた裏銀座が歩けるのでとってもわくわくしていました。

この登山口からの烏帽子岳へのブナ立尾根ですが地図には「北アルプス三大急登」と記されていました。そして「日本三大急登」にも含まれているそうです。どんなキツい登りなのだろうかと身構えていたのですが個人的には北岳の草すべりの方がキツかったなと...そんな印象でした。それでも日本三大急登というくらいなので急な登りが続いて行きます。気温も徐々に上がってきて汗も垂れ落ちました。

8:55 キツい道を登り終えると直ぐに烏帽子小屋に着きました。とても静かでこぢんまりとした雰囲気の山小屋でした。女将さんに「どうぞゆっくりしていってね」と声をかけてもらいました。静かで良い場所だったのでゆっくりしたいのは山々だったのですが行程上そんなにもゆっくりしていられませんでした。

冷えたミネラルウォーターを購入してアミノバイタルウォーターを溶かして携帯しました。いつもは粉のまま溶かさずに飲むスティック状のアミノバイタルですが今回はこれを試してみました。便利さで言ったらそのまま飲むタイプの物なのですが、こちらはレモン味で甘みもあるので歩いている時々に少しずつ口に含みリフレッシュ出来ました。

烏帽子小屋のテント場には小さな池もありました。テントを張れる小さなスペースがあちらこちらに点々としていました。気持ち良さそうなテント場です。

烏帽子小屋から少し行くと本格的な尾根に出ました。野口五郎岳を目指します。

〈野口五郎岳迄の道〉
ここからが本格的な裏銀座縦走路と言った感じでした。それにしてもとても静かでした。もっと沢山のハイカーがいるのかななんて思っていたのですが他のハイカーとは殆ど会いません。野口五郎岳迄に行き交った登山者は5、6人だったでしょうか。殆どの時間を1人で歩けてとても満足でした。静かな北アルプスを歩きたいなら裏銀座は良いかもしれません。


お盆シーズンだと言うのに本当に他のハイカーを見かけませんでした。1人、歌を歌いながら歩いていました。とても気持ちの良いハイクが出来ました。

高山なのですがこの時は25℃程ありました。ジリジリと日差しが照りつけています。残雪を広い後頭部に当てます。ひと時のちょっとした涼でした。

セイシェルに雪解け水を汲み飲みました。とても冷たくて旨かったです。

これから歩く尾根を眺めます。まだまだこの先歩けるのだというだけでとてもいい気持ちになれました。

しかし相変わらずの強い日差しでした。そういえばと思い出し、いつも携帯しているGOLITE CHROME DOMEを使ってみる事にしました。これは雨傘用に携帯していますが日傘としても使用出来る物です。今迄日傘として使用した事が無かったので今回試してみる事にしました。

結果、効果抜群でした。とても涼しく感じます。日差しが強い日、日を遮る物が無い尾根道では日傘はとても有効だと思います。体力温存にも繋がりますね。

足下もそんなに危険な場所も無く風も穏やかなのでそのまま日傘ハイクをする事にしました。


11:45 野口五郎小屋に着きました。真っ白な砂と岩の場所に青い屋根が真っ青な空にとても良く映えていました。あちこちに布団が干してあります。ここも烏帽子小屋同様そんなに大きく無くここもこぢんまりとした小屋でした。テント場はありません。

中では丁度昼食の時間でしょうか。何人かの登山客が皆で食事をしていました。

ちょっと日陰に入るだけでもだいぶ涼しく感じました。涼しい風が小屋の中に吹き込んでいました。

僕もここで昼食タイムにしました。小屋でカップヌードルを買い、持って来たパンで昼食です。その後、日陰で少し休憩をしますが吹く風がとても気持ち良く小屋の中から聴こえて来るどこかの地方局のAMラジオが眠気を誘い、少しだけウトウトとしてしまいました。

しかしまだまだ先は長いです。そんなにゆっくりもしていられません。折角のハイキングですから慌てたくは無いのですが先を急ぎました。

12:35 野口五郎岳山頂に到着しました。山小屋から近くの為休憩せずに先を急ぎます。

〈雲ノ平へ〉
野口五郎岳を過ぎたならこの日の目的地の雲ノ平を目指します。ここから雲ノ平までまだまだ長い道のりです。大きなカールを眺めながら歩きました。相変わらずの強い日差しが照りつけます。ちょくちょく休憩しながら歩いて行きます。行き交う人は殆ど居ませんでした。

裏銀座は菅笠を被ったハイカーが多かったです。そのスタイルはこの裏銀座の雰囲気にとってもマッチしていました。

14:20 東沢乗鞍越までやってきました。目的地の雲ノ平迄はもうちょっと歩かなければなりません。遠くの方に積乱雲が出て来ているのを気にしながら休憩します。流石にそろそろ疲れが出てきました。目の前の登りを見ると「ふー」と溜め息が出てしまいます。

15:30 水晶小屋迄やってきました。この小屋もとても小さな小屋でした。この日は盛況らしく1枚の布団に2人で寝る程だったそうです。もし天候や体力的にヤバかったらここで小屋泊もアリかななんて思いながら歩いていましたがそんなにギュウギュウでは気が引けてしまいます。これからの天気予報を聞いてみましたがどうやらこの日は夕立の心配は無い様でした。一安心です。

ここから雲ノ平迄はコースタイムで2時間程です。もう一踏ん張りしないといけませんでした。空腹感はありましたが暑さと疲れの為、食欲がありませんでした。最近ハイキング時に携帯するようにしているshotzを補給します。これはいざという時に本当に便利です。これ1つでこの後90分程バテる事無く歩けました。

岩苔乗越を経て雲ノ平まで。後少しです。

17:00 祖父岳山頂に着きました。祖父岳山頂を過ぎると直ぐに雲ノ平キャンプ場が見えました。しかしここからがまた長かったです。キャンプ場は見えているのになかなかそこに着きません。距離的には近いのですがぐるりと遠回りするようなルートになっています。クタクタなので早く着いて欲しいのですがそうもいきませんでした。

17:50 写真に写っている山が先程通った祖父岳です。手前には雲ノ平キャンプ場。一直線に降りてこられればとても早そうですが、ルート状そうもいかず、向かって左の方をぐるりと周り50分かけてやっとキャンプ場の手前迄やってきました。このままキャンプ場に行きたいのも山々なのですが先ず雲ノ平山荘まで行き、テント泊の受付をして来なければいけません。そしてその雲ノ平山荘はキャンプ場とは反対方向に25分程歩いた先にあるのです。やっとこさキャンプ場に着いたと思ったら山荘迄25分。受付をしてまた25分程歩きキャンプ場まで戻らねばなりません...複数人なら手分けして出来る作業も1人だとこれが辛いのです。

雲ノ平山荘。

テント場代は500円でした。ビールが飲みたくて買おうか悩んだのですが今ビールを飲んでしまったら疲れと酔いで気絶してしまうなと真剣に思ったのでポカリにしておきました。


18:30 この日のゴール地点。雲ノ平キャンプ場に着きました。この日の移動時間は14時間30分でした。もうクタクタです。雲ノ平キャンプ場はとても広いキャンプ場でした。とても広いのですが既にテントでびっしりと埋め尽くされていました。時間が時間なので覚悟していましたが何とか1張りだけ張れる場所を探します。

写真では結構スペースが空いているように見えるのですが張れるスペースが本当に見つかりません。ここのキャンプ場はフラットな場所は極僅かで後は斜面や岩場になっています。水が流れる沢の上にテントを張っている人迄居ました。斜面の上の方迄登り張れそうな場所を探しましたが見つかりませんでした。天気も良さそうだし最悪、マットを敷いて寝袋に包まれば良いかななんて考えながらもう一度下迄降りると何とか1張りだけ張れそうなスペースを見付けました。

空いていたのは大きな岩の上でした。張ってみるとギリギリ張れました。が、ガイラインでテンションをかけるスペースは無く、だるんだるんな状態でした。風も無いのでそのままの状態で過ごす事にしました。写真に撮るのも可哀想な状態だったので撮っていません。狭いスペースに何とか張り終えると辺りはとっくに暗くなっていました。テントに入ると眠たくて眠たくて仕方ありませんでした。着替えもせずにそのまま寝てしまおうかと思ったのですが汗をかいて気持ちが悪かったので寝巻きに着替えます。今回は寝巻きのインナーをibexのWoolies150CrewとWoolies150Bottomにしました。以前からWoolies150Crewは使用していたのですがとても気持ち良く気に入っていたのでボトムも購入して使ってみました。僕は化繊だと肌が痒くなりがちなのですがウールのこれはそんな事も無くとても気持ち良く過ごせました。それだけでも体力の回復にも差が出ると思います。
着替えを済ませて一段落して夕飯を食べようかと思ったのですがあまりの眠気に夕食を準備するのさえ億劫になりそのまま眠る事にしました。外では「凄い奇麗な星!!」なんて声が聞こえてきました。僕も見たかったのですが体が動かず。星空鑑賞は翌日に持ち越しです。
山行日時:2013.8.11
出発時刻:4:00 七倉山荘
到着時刻:18:30 雲ノ平キャンプ場
合計時間:14時間30分
合計距離:24.45km
雲ノ平に行かれたのですかー!!いいな~、羨ましいです。
ここ、ずっと行きたいと思っているので、お写真をガン見してしまいました。
布団を干しているお写真と、菅笠を被ったハイカーのお写真が、すごく素敵です。
野口五郎って、山の名前からだったのですか。知らなかったです(笑)
shotzを食べると90分もバテないなんて、すごいです。買って試してみようと思います。